国家試験情報
“歯科医師国家試験は
難化している?”
過去8年間の
国家試験結果
103回 | 104回 | 105回 | 106回 | 107回 | 108回 | 109回 | 110回 | |
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出願者数 | 3905 名 | 3875 名 | 3825 名 | 3764 名 | 3644 名 | 3695 名 | 3706 名 | 3691 名 |
受験者数 | 3465 名 | 3378 名 | 3326 名 | 3321 名 | 3200 名 | 3138 名 | 3103 名 | 3049 名 |
合格者数 | 2408 名 | 2400 名 | 2364 名 | 2366 名 | 2025 名 | 2003 名 | 1973 名 | 1983 名 |
合格率 | 69.5 % | 71.0 % | 71.1 % | 71.2 % | 63.3 % | 63.8 % | 63.6 % | 65.0 % |
- 103回〜106回の合格率と、107回〜110回の合格率に明確な差がある。
- 受験者数が年々減少している。
新卒の国家試験結果
103回 | 104回 | 105回 | 106回 | 107回 | 108回 | 109回 | 110回 | |
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出願者数 | 2772 名 | 2830 名 | 2786 名 | 2786 名 | 2656 名 | 2525 名 | 2536 名 | 2462 名 |
未受験者率 | 15.0 % | 16.7 % | 17.0 % | 14.8 % | 15.6 % | 21.0 % | 22.4 % | 24.7 % |
受験者数 | 2355 名 | 2356 名 | 2311 名 | 2373 名 | 2241 名 | 1995 名 | 1969 名 | 1855 名 |
合格者数 | 1921 名 | 1928 名 | 1882 名 | 1907 名 | 1642 名 | 1457 名 | 1436 名 | 1426 名 |
合格率 | 81.6 % | 81.8 % | 81.4 % | 80.4 % | 73.3 % | 73.0 % | 72.9 % | 76.9 % |
- 107回より出願者数が減少傾向にある。
- それ以上に受験者数が減少し、未受験者率が増加している。
卒業試験の結果で、大学が国家試験受験者を絞り込んでいるためと考えられます。
既卒の国家試験結果
103回 | 104回 | 105回 | 106回 | 107回 | 108回 | 109回 | 110回 | |
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出願者数 | 1133 名 | 1045 名 | 1039 名 | 978 名 | 988 名 | 1170 名 | 1170 名 | 1229 名 |
受験者数 | 1110 名 | 1022 名 | 1015 名 | 948 名 | 959 名 | 1143 名 | 1134 名 | 1194 名 |
合格者数 | 487 名 | 472 名 | 482 名 | 459 名 | 383 名 | 546 名 | 537 名 | 557 名 |
合格率 | 43.9 % | 46.2 % | 47.5 % | 48.4 % | 39.9 % | 47.8 % | 47.4 % | 46.6 % |
- 合格率はほぼ横ばい
- 近年、出願者数と受験者数が増加し、合格者数も増加している。
新卒の受験者数が減少して自然と合格者数が減少したため、既卒の合格者数が増えたと考えられます。
卒業年次別受験者数、
合格者数、合格率(110回国家試験時)
新卒 | 1浪 | 2浪 | 3浪 | 4浪 | 5浪 | 6浪 | 7浪 | 8浪 | 9浪以上 | |
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受験者数 | 1969 名 | 576 名 | 216 名 | 103 名 | 41 名 | 35 名 | 23 名 | 43 名 | 25 名 | 72 名 |
合格者数 | 1436 名 | 361 名 | 113 名 | 38 名 | 9 名 | 4 名 | 2 名 | 3 名 | 3 名 | 4 名 |
合格率 | 72.9 % | 62.7 % | 52.3 % | 36.9 % | 22.0 % | 11.4 % | 8.7 % | 7.0 % | 12.0 % | 5.6 % |
- 受験回数が増すほど合格率は下がります。3浪目からは顕著に低下します。
この傾向は例年同じです。次の国家試験で必ず合格するという意志と目標設定が重要です。
合格基準の変遷
出題基準は4年ごとに変わります。
合格基準も原則4年ごとに変化します。
95回〜98回 | 99回〜102回 | 103回〜106回 | 107回〜110回 | 111回〜114回 |
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①一般問題 ②臨床実地問題 |
①一般問題 ②臨床実地問題 |
①領域A ②領域B ③領域C |
①領域A ②領域B ③領域C |
①領域A ②領域B ③領域C |
③必修問題 | ③必修問題 | ④必修問題 | ④必修問題 | ④必修問題 |
④禁忌肢選択数 | ④禁忌肢選択数 | ④禁忌肢選択数 | ④禁忌肢選択数 | |
⑤基準点以下の領域数 | ⑥必要最低点 (110回では廃止) |
- 103回から一般問題と臨床実地問題による採点に代わって、領域A、領域B、領域Cの3領域による
相対評価が導入された。 - 一般問題と臨床実地問題を包括し、出題基準で定める内容が近接した領域での採点となり、
バランスのよい知識が重視されるようになった。 - 111回国家試験から禁忌肢選択数が合格基準より外された。
- 歯科医師国家試験制度改善検討部会は、必修問題、領域A、領域B、領域Cの計4区分を
今後も合格基準として採用することを明言している。
103回国家試験以降の
合格基準
領域A | 領域B | 領域C | 必修 | 禁忌肢 | その他の基準 | 厚生労働省発表資料 | |
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103回 | 69 点 /129 点 (総論・各論 I) |
98 点 /173 点 (各論 II・各論 III) |
116 点 /200 点 (各論 IV・各論 V) |
56 点 /70点 * | 2問以下 | PDFはこちら | |
104回 | 75 点 /130 点 (総論・各論 I) |
104 点 /171 点 (各論 II・各論 III) |
101 点 /195 点 (各論 IV・各論 V) |
56 点 /70点 * | 2問以下 | PDFはこちら | |
105回 | 82 点 /124 点 (総論・各論 I) |
130 点 /176 点 (各論 II・各論 III) |
128 点 /200 点 (各論 IV・各論 V) |
56 点 /70点 * | 2問以下 | PDFはこちら | |
106回 | 66 点 /127 点 (総論・各論 I) |
129 点 /175 点 (各論 II・各論 III) |
119 点 /199 点 (各論 IV・各論 V) |
56 点 /70 点 * | 2問以下 | PDFはこちら | |
107回 | 67 点 /106 点 (総論) |
125 点 /185 点 (各論 I〜III) |
125 点 /205 点 (各論 IV・各論 V) |
56 点 /68 点 * | 2問以下 | 0グループ以下 | PDFはこちら |
108回 | 68 点 /109 点 (総論) |
125 点 /185 点 (各論 I〜III) |
139 点 /205 点 (各論 IV・各論 V) |
55 点 /68 点 * | 2問以下 | 0領域以下 | PDFはこちら |
109回 | 65 点 /109 点 (総論) |
128 点 /184 点 (各論 I〜III) |
122 点 /196 点 (各論 IV・各論 V) |
56 点 /70 点 * | 2問以下 | 0領域以下 | PDFはこちら |
110回 | 70 点 /109 点 (総論) |
132 点 /180 点 (各論 I〜III) |
136 点 /209 点 (各論 IV・各論 V) |
56 点 /70 点 * | 2問以下 | PDFはこちら |
*但し、必修問題の一部を採点から除外された受験生にあっては、必修問題の得点について総点数の80%以上とする。
- 合格ラインは領域Bが比較的高めに推移している。
- 近年は3領域の差が少なくなり、バランスのよさが必要になっている。
国家試験の傾向を
みてみよう!
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Q1
医科領域との関連性の高い高齢者の歯科医療に関連する問題が増加してきている
認知機能の評価スケールはどれか。1つ選べ。
- ABI〈Barthel Index〉
- BFIM〈Functional Independence Measure〉
- CMMSE〈Mini-Mental State Examination〉
- DMNA〈Mini-Nutritional Assessment〉
- ESF-36〈The MOS 36-Item Short-Form Health Survey〉
- 正答
-
- CMMSE〈Mini-Mental State Examination〉
<第110回国試 A問題 問11より>
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Q2
現在の社会的問題に関する事項はしっかりと学んでおく必要がある
健康格差の要因となるのはどれか。すべて選べ。
- A職業
- B地域
- C経済力
- D世帯構成
- E健康リテラシー
- 正答
-
- A職業
- B地域
- C経済力
- D世帯構成
- E健康リテラシー
<第110回国試 A問題 問55より>
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Q3
写真から何を行ったかが判断できないと解答できない問題は多い
82歳の女性。上下顎全部床義歯の不適合を主訴として来院した。
リラインでの対応は不可能と判断し義歯を新製することとした。義歯製作過程の写真を別に示す。
本操作の目的と同様なのはどれか。1つ選べ。- AFGPテクニック
- Bチェックバイト法
- Cパウンドテクニック
- Dオルタードキャスト法
- Eニュートラルゾーンテクニック
- 正答
-
- Eニュートラルゾーンテクニック
-
解説
デンチャースペースを記録する方法として代表的なフレンジテクニックである。義歯の維持安定をはかるため頬下側の筋圧が平衡するスペース、すなわち筋圧中立帯(ニュートラルゾーン)を記録することが目的である。
<第110回国試 B問題 問12より>
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Q4
摂食・嚥下リハビリテーションに関する知識の要求度は年々高くなってきている
74歳の男性。摂食・嚥下リハビリテーションを目的に紹介受診した。舌癌の診断で舌半側切除術、左下顎区域切除術、頸部郭清術および皮弁と再建プレートによる再建術を受けたという。嚥下造影検査で検査食の梨状窩への残留を認めた。実施した摂食・嚥下機能訓練時の写真を別に示す。
この訓練の目的はどれか。1つ選べ。- A喉頭挙上の強化
- B声門閉鎖の強化
- C頸部可動域の拡大
- D呼吸筋の筋力増強
- E鼻咽腔閉鎖の改善
- 正答
-
- A喉頭挙上の強化
-
解説
梨状窩への残留を認めていることから、咽頭期の障害に対する訓練方法を選択する。
<第110回国試 D問題 問15より>
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Q5
診療現場を想定し、広範囲に治療手順の問題が出題されている
88歳の男性。義歯の破損を主訴として来院した。修理を行うこととした。
破損した義歯の写真(A)と修理過程の写真(B)を別に示す。
修理の順番で正しいのはどれか。1つ選べ。- Aア→イ→ウ
- Bア→ウ→イ
- Cイ→ア→ウ
- Dイ→ウ→ア
- Eウ→ア→イ
- Fウ→イ→ア
- 正答
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- Eウ→イ→ア
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解説
クラスプが脚部から破折しているため、印象採得してクラスプを再製作したのち、口腔内で義歯に組み込む形で修理している。
<第110回国試 D問題 問48より>